WWEヴィンテージ・コレクション #6

順番が逆になっています。


1989年3月 マジソン・スクエア・ガーデン定期戦より



ブルックリン・ブローラー vs レッド・ルースター

ブルックリン・ブローラーは、WWEのエージェントとしても知られるスティーブ・ロンバルディのキャラクタのひとつ。他にキム・チーやドインクの中の人、野球キャラもやっていました。
特筆すべき実績はありませんが、名脇役として名を残している人物です。あと、パット・パターソンの(以下自主規制)


レッド・ルースターも特筆すべき実績がありません。テリー・テイラーの名の方が通りが良いかもしれません。ローカルタイトルはやたら獲得していますが、メジャータイトルにはほとんど縁がありません。そのわりにワールド・レスリング・フェデレーションでもWCWでもそれなりに厚遇されていたのが謎。TNAでもエージェントとして活動しています。期待されていたわりにイマイチで、背広組としては良い扱いをされているという点では、ジョニー・エースに通じるものがあります。
「レッド・ルースター」とは「赤い雄鶏」の意。その名の通り、髪型がニワトリのとさかのようになっています。


○ルースター(バックスライドによるピンフォール)ブローラー×



“ミスター・パーフェクト”カート・ヘニング vs ロニー・ガービン

カート・ヘニングは、元AWA世界王者。ニック・ボックウィンクルから奪取し、ジェリー“ザ・キング”ローラーに奪われました。後にキングの持つ王座がユニファイド(統一)王座になるとか剥奪するとかで大揉めするのですが、それはまた別の話。
あのスコット・ホールと組んで、AWAタッグ王者にもなっています。
父は“アックス”ラリー・ヘニング。
ワールド・レスリング・フェデレーションではインターコンチネンタル王座止まりでしたが、「パーフェクト」の名の通り、その卓越したセンスは間違いなく世界のトップクラスでした。
ドロップキックやパーフェクト・プレックスのフォームの美しさは芸術品といってよいくらいのものでした。
首を痛めてセミリタイア状態にあった時期には“リアル・ワールド・チャピオン”時代のリック・フレアーの付き人(エグゼクティブ・コンサルタントとか名乗っていました)を務めていたこともありました。
2003年、コカイン中毒により死去。長い間腰や首に故障を抱えていたのを薬物で抑えていたのが祟ったようです。
2007年、WWE殿堂入り。


意外なことに、ロニー・ガービンも元NWA世界王者です。リック・フレアーに勝利して王座を奪取しました。2ヶ月ほどで取り返されましたが。はっきり言って、どうってことない平凡なレスラーです。なぜチャンピオンになれたのか不思議で仕方ありません。


○ヘニング(クロスボディを切り返してピンフォール)ガービン



バッドニュース・ブラウン vs ハーキュリーズ

ハーキュリーズ、別名ヘラクレス・ヘルナンデス(ハーキュリーズヘラクレスの英語読み)。
ワールド・レスリング・フェデレーションではその名の通り怪力キャラとして知られていましたが、同じような怪力キャラのアルティメット・ウォリアーやビリー・ジャック・ヘインズと抗争していたこともありました。
得意技はフルネルソン(羽交い絞め)。チェーンを持って入場していましたから、それを凶器に使うこともありました。
力を売り物にしているわりに背が高くないし、体は堅いし、技も迫力がないし、とても日本で通用するような人だとは思っていなかったのですが、なぜか新日本プロレススコット・ノートンと組んで「ジュラシック・パワーズ」として通用してしまいました。誰がどんな形で成功するか分かりませんね。ノートンが成功したのも謎ですが。
2004年、心臓病により死去。おそらくステロイドの後遺症です。ちなみにカート・ヘニングと同じくフロリダ州タンパで亡くなっています。


ハーキュリーズ(ダブル・カウントアウトにより引き分け)ブラウン△



ブッシュワッカーズ(ブッチ&ルーク)&“ハクソー”ジム・ドゥガン vs ファビュラス・ルージョー・ブラザーズ(ジャック&レイモンド)&ディノ・ブラボー w/z フレンチー

ドゥガンはご存知角材男。現役バリバリです。
ブッシュワッカーズは、ニュージーランド出身のタッグチーム。レスリングに関してはこれといって何もないのですが、独特の歩き方やシャウト、足を踏み鳴らして手を振り上げるだけのパフォーマンスで人気者となりました。
「シープハーダース」の名で全日本プロレスにも参戦しています。
このトリオは、はっきり言って頭のイカレたおっさんの集まりです(もちろんキャラクタとして)。かつての日本でこのトリオが人気を集めるなんてことは絶対にありえなかったでしょう。実際、SWSではまったく人気が出ませんでした。今ならいけるかもしれませんが。
どう見ても巧そうには見えないのに、実は試合の組み立てが巧く、ファンの目を引き付けるテクニックに関しては抜群のものを持っていました。


ディノ・ブラボーと聞いて思い出すのは、やっぱりその死に際です。1993年、マフィアに蜂の巣にされました。密輸に関わるトラブルだと推測されています。
大スポ(大阪スポーツ)の一面でその記事を見た時には目が点になりました。そんな映画みたいな状況が現実に存在するとは思っていませんでしたから。
レスラーとしては、ハーキュリーズと同じく怪力キャラで売っていました。最近のレスラーに対比させると、ハーキュリーズクリス・マスターズで、ブラボーはマーク・ヘンリーに相当します。なにしろ自称「ワールド・ストロンゲスト・マン」ですから。但し、ヘンリーはそれなりに実績がある(重量挙げでオリンピック出場経験あり)のに対し、ブラボーのはハッタリです。
抗争相手は“ザ・ロック”ドン・ムラコやケン・パテラ。アースクェイクとタッグを組んでいたこともあります。
ブラボーはケベック出身のフランス系カナダ人ですから、ルージョー兄弟とは同じアイデンティティを持っているということになります。そして、そのマネージャの名前が「フレンチー」。ふざけた名前です。


○ブッチ(リング外、背後からの角材の一撃からピンフォール)レイモンド×


なんちゅう勝ち方だ。どっちがヒールか分からんな。



ブレーンバスターズ(アーン・アンダーソン&タリー・ブランチャード) vs ロッカーズ(ショーン・マイケルズ&マーティ・ジャネッティ)

アーン・アンダーソンは、アンダーソン兄弟(偽兄弟)の一人。後にリック・フレアーを中心とするユニット「フォー・ホースメン」の一員となり、参謀的存在として活躍しました。
現在はWWEのエージェントを務めています。
抜群にプロレスが巧く「職人」「仕事師」として尊敬されています。相手の良さを引き出すのも巧く、まさに「名バイプレーヤー」といえる、素晴らしいレスラーです。
タリー・ブランチャードもフォー・ホースメンの一員でした。トップロープのリバウンドを利用したブレーンバスターの開発者でもあります。
この人はとんでもなくオーバーで鼻につくリアクション芸の持ち主ですが、不思議とそれが味になっています。私はそれが見たくて藤波とのシングルマッチを観戦しに行きました。あのアントーニオ本多が「尊敬するレスラー」として名を挙げているということから分かるように、マニアックな趣味の人が好む職人レスラーです。


この二人で思い出すのは、なんといってもあの試合。確か「レッスルマニアV」だったと記憶しています。
最後にタリーとアーンが入れ替わってフォールするのですが、タイツの色や体格こそ似ているものの、アーンはハゲなので、そのままでは入れ替わったのがバレバレになってしまいます。そこでアーンは、頭を手で覆ったまま相手に被さったのです。その為、レフェリーはフォールしているのがハゲであることに気づかず、3カウントを入れてしまいました。
言葉で説明しても面白さは伝わらないでしょうが、映像で見たら爆笑できること請け合いです。


ロッカーズ(レフェリーのカウント妨害による反則)ブレーンバスターズ×




ケージマッチ ハルク・ホーガン vs ビッグ・ボスマン w/z スリック

ビッグ・ボスマン。リングネームの変遷が激しく、全日本プロレスに参戦した時には「ビッグ・ブバ」や「ビッグ・ブーバー」を名乗っていましたし、WCWでは「ビッグ・ババ・ロジャース」、後に「ガーディアン・エンジェル」などのリングネームを名乗っていました。全日では御大と名前が被るのを避けて「ブバ」にしたという説が有力です。
基本的に、普通の服を着たまま試合をするのが特徴です。ババ・ロジャースとしては用心棒風、ボスマンとしては警備員風のリングコスチュームでした。警備員の時には警棒を振り回すパフォーマンスも行っていました。
この頃はスリックがマネージャに就き、“アフリカン・ドリーム”アキーム(ワンマン・ギャング)とのタッグチーム「ツインタワーズ」として活動していましたが、シングルプレーヤーとしてもホーガンのライバルに抜擢されたりして活躍していました。2m近い長身で、しかも(この頃は特に)太っていたのに、身軽で動けるとして高く評価されていました。
ダウンしそうになってセカンドロープに倒れこみ、そのリバウンドで起き上がるという芸の持ち主でもありました。
アンダーテイカー戦での首吊りシーンも印象に残っていますが、2004年には本当に亡くなったので洒落になりません。
…なんか故人多すぎ。別に故人を選っているわけではないのにそうなってしまうのが悲しいところ。


○ホーガン(エスケープ)ボスマン×