2006/12/4 RAW

at マンチェスターイングランド


今週のWWEは英国興行。
オーディエンスは最初から「出来上がっている」状態でした。


前週DXにしてやられたコーチは、DXの首に賞金を懸けました
賞金を入れた鞄の中には5,200英ポンドの現金。米ドルに換算すると1万ドル。
HHHは「1人5000ドルぽっち?安すぎる!」
しかしコーチが「1万ドルも積めば僕の言うことを聞く奴は行列ができるほど集まるんだ」と言うと、4人のレスラーが姿を現し、2対4のハンディキャップマッチが行われることになったのです。



“ハート・ブレイク・キッド”&“ザ・ゲーム”トリプルH vs ランス・ケイド&トレバー・マードックチャーリー・ハース&ヴィセラ

それにしても古い。ケイド&マードックを見ていると20年前にタイムスリップしかのような錯覚を起こしてしまいます。まるっきり80年代のアメリカンプロレスです。


中盤はHBKが長く捕まっていましたが、HHHにスイッチした途端に形勢逆転。
勢いづいたDXは2人で4人を相手にして大奮闘。
HBKがエプロンサイドに立っていたヴィセラにスウィート・チン・ミュージックを食らわすと、ヴィセラは場外にいたケイド&マードックの上に転落してしまい、3人とも場外でのびてしまいました。
その間にHHHがハースにぺディグリーを決めてピン。
結果的には数の劣勢をものともしない完勝でした。


○HHH(ぺディグリーからピンフォール)ハース×



DX劇場

バックステージ。
スピリット応援団がなにやら相談しています。
どうやらDXに懸けられた賞金を狙っているようで、試合予定のある二人を除いた3人が実行することになりました。
未だに名前を覚えられないのでA,B,Cとします。
3人は試合を終えて引き揚げてきたDXを見つけると、めいめいに身を隠しました。
物陰から飛び出して不意討ちしようというのでしょう。
DXが近づいてくると、まずAがゴミ箱の蓋を持って雄叫びを上げて襲い掛かったものの、それを聞きつけたDXが足を止めた為、勢い余ってバスの荷物入れに突っ込んでしまいました。
HBKはAが持っていた蓋を手にすると、出てこようとするAの頭を一撃。
続いてHHHが蓋を受け取り、バスの陰に潜んでいたBの頭を一撃。
更に、Cは上の方から飛び降りて倒そうとしたのですが、目測を誤って全然違う場所に落ちてしまいました。
…まあ、要するに「トムとジェリー」によく出てくるような展開です。私は「イッチー&スクラッチー」の方が好きですがどうでもいい話ですねすいません。

ハイランダーズ(ローリー&ロビー) vs スピリット・スクワッド(ジョニー&ケニー)

おバカ3人に続いて残る2人の試合。
ケニーはジョニーを突き飛ばしてローリーとロビーにぶつけ、ジョニーとローリーが場外に転落した隙を突いてロビーを丸め込んでピンフォール
買って喜んでいでいるケニーにジョニーが文句を言うのですが、ケニーは意に介さない様子。応援団の分裂は時間の問題です。
ハイランダーズは地元(自称、本当はカナダ出身)スコットランドにほど近いイングランド北部の興行だったのに、良い所を見せられませんでした。


○ケニー(インサイドクレイドルからピンフォール)ロビー×



マスターロック・チャレンジ

これは、クリス・マスターズの必殺技「マスターロック」を自力で振り解くことにチャレンジする企画です。
挑戦者は椅子に座り、後ろからマスターズがマスターロックを極め、完全に極まった状態から自力で振り解くことを試みます。
マスターロックとは、羽交い絞め(フルネルソン)そのものですが、マスターズの怪力から繰り出されるこの技を自力で振り解いた者はこれまでに一人もいません。
今回は、前週の試合でマスターズに敗れた(ビショフの陰謀にしてやられた)ジェリー・“ザ・キング”・ローラーが挑戦。
キングは肘打ちを繰り返してあと少しのところまで行ったのですが、結局力尽きてしまいました。


ところで、マスターズは復帰直後にしぼんでいた筋肉が甦ったようですが、クスリはやめろ。
UK興行ということもあり、筋肉増強剤の副作用で体がボロボロになり、若くして亡くなった“ブリティッシュブルドッグ”デイビーボーイ・スミスを思い出してしまったではありませんか。



ウマガ vs ジョン・シナ

(ここよりキングに代わりインタビュアーのトッドが解説席に座る)


本国ではかなり収まってきたシナへのブーイングですが、ここマンチェスターではそうはいきません。
シナが一つ技を繰り出す度にブーイングが飛び、ウマガが一つ技を繰り出す度に歓声が上がるという有様で、どちらがベビーフェイスだか分かりません。
しかも、ここ最近本国ではあまり聞かれなくなった "Let's go Cena!","Cena suck!!" が交互に繰り返されるチャントまで起きました。
英国国民は基本的に本物志向が強いのと、マニア層が集まっていた(本国では各地に分散する)ことが理由だと思われます。
そういう私もシナがやられているのを見ると楽しくなってきます。


シナは、ウマガの両腕がロープに絡まって動けなくなったのをいいことに、一方的にパンチの連打を浴びせました。
更に、卑怯な攻撃に抗議したアルマンド・アレハンドロ・エストラーダにまで手を出すという無法ぶり。

見るに見かねてECW王者ビッグ・ショーが助けに入り、リングインしてシナを説得しようとした途端にレフェリーは試合終了のゴングを要請し、強制的に試合が打ち切られました。
シナ贔屓の不当判定に会場内から大きなブーイングが飛ばされました。


ウマガ(ビッグショー乱入により無効試合)シナ


シナは、ウマガとショーの連続ヒップアタック、ウマガのスプラッシュ、ショーのチョークスラム、ウマガのサモアンスパイクと立て続けに食らってKOされました。
それを見てマンチェスターのファンは拍手喝采やはり最後は正しい者が勝つのです。
(一部誇張されていますがまったくの嘘でもありません)



DX劇場

GM室にて。
GM代行のコーチに対し、DXは自主的に退散すると告げました。HHHは「帰るから金をくれないか」と言うのですが、もちろん断られます。HHHはそのままおとなしく引き下がったのですが、実はこの隙にHBKが賞金の入った鞄を持ち出していたのです。

インターコンチネンタル選手権試合 (王者)ジョニー・ナイトロ vs ジェフ・ハーディ(挑戦者)


ナイトロはジェフのスワントーンを食らったものの、メリーナの介入により命拾いしました。
そして、コークスクリュームーンサルトを仕掛けて技はうまく決まったのですが、カバーに入って油断したところを切り返されてピンフォールを奪われてしまいました。


○ジェフ(ピンフォール)ナイトロ×
※ジェフが新王者に


王座を失って逆上したナイトロは脚立を持ち出し、ジェフにぶつけてダウンさせます。
コーナーに昇り、脚立に体重を乗せて倒れ込んでプレスし、ジェフをKO。
これは明らかにラダーマッチの伏線です。



(余談)インターコンチネンタル・チャンピオンシップ

"Intercontinental"は「大陸間」ですから、英国で行うに相応しいタイトルマッチです。
英国で行われた初めてのWWEのPPVは、ロンドンで開催された「サマースラム'92」でした。
World Wreslring Federation(before "get the 'F' out")初の北米以外でのPPVということで、会場は巨大なフットボールスタジアム「ウェンブリー・スタジアム」が選ばれました。
World Wreslring Federation王座戦ランディ・サベージ vs アルティメット・ウォリアーを差し置いて、ブレット・ハートに英国出身のブリティッシュブルドッグが挑むインターコンチネンタル選手権試合がメインに置かれ、ブルドッグは実に80,355人にも上る大観衆の前で見事タイトルを奪取し、故郷に錦を飾りました。
尤も、IC王座戦になったのはブルドッグWWE王者には相応しくないと判断されたからでもあります。ブレットはその後WWE王者になりました。

DX劇場

コーチからかすめ取った賞金を持って会場外に出たDX。
なぜかその金でダフ屋からチケットを買おうと言い出しました。意味がわかりません。
そして、近くにいたダフ屋に声を掛けたところ…それはクライム・タイムのJTGとシャドでした。
盗んだ金で気前よく最前列のチケットを買い、観客入口から堂々と会場内に入って客席に座りました。

リタ vs ミッキー・ジェームス

前週は腕を縛って試合をさせ、今回は両足を縛っての試合を強要。
リタは立てないミッキーを一方的に攻撃します。
しかし、客席のDXに執拗に"Ho!"と挑発され、思わずHHHを突き飛ばしてしまいました。
カチンときたHHHは持っていたサラミ用のマスタードをリタの顔面に噴射。
リタの目にマスタードが入って苦しみながらリングに戻ると、なぜかミッキーがサラミを持って立っています。
ミッキーはそのサラミでリタを殴り、更にトルネードDDTを決めてピンフォールを奪ってしまいました。


○ミッキー(トルネードDDTからピンフォール)リタ×


試合が終わると、メインに出場するエッジとランディ・オートンが入場し、観客席のHBKとHHHと口論。
そこにコーチが姿を現し、警備員を呼ぶと、出場者に手を出したとの廉でDXを追い出してしまいました。



世界タッグ選手権試合 (王者)“ラウディ”ロディ・パイパー&“ネイチャーボーイ”リック・フレアー vs エッジ&ランディ・オートン

パイパーが出てきてベルトまで取ったのは、スコットランド出身(自称、本当はカナダ出身)のパイパーを英国興行に出すためだったと思われます。しかし、パイパーは開始前にコンチェアトでKOされてしまい、フレアーは独りで闘うことになりました。


これは推測ですが、もしかすると
責任者「パイパーさん、この試合で負けてください」
パイパー「やなこった。どうして俺があんな若造に負けなきゃならねぇんだよ」
責任者「でも、その約束でタイトル取らせたんですよ?」
パイパー「やだ。絶対いやだ」
責任者「仕方ありません。フレアーさん、フォール取られてください」
フレアー「しょうがねぇな。この借りは後で返せよ」
なんてやり取りがあったのかも知れません。


悪性リンパ腫だったそうです。申し訳ありませんでした。


○エッジ(スピアーからピンフォール)フレアー×
※RRKOがタッグ王者に


私は試合よりも客席の"WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO"というサインボードの"O"の数が気になって仕方ありませんでした。