TNA「ファイナル・レゾリューション」

現地時間1月14日に開催された、TNA(トータル・ノンストップ・アクション)のPPV「ファイナル・レゾリューション」をSAMURAIで視聴しました。あと1回リピート放送があります(3月7日 13:00〜16:00)
FIGHTING TV サムライ【番組情報:TNA】




ラストマン・スタンディング・マッチ “ウォーマシン”ライノ vs AJスタイルズ

相変わらずライノのゴアは強烈です。ただのスピアーなのですが、ライノがやると殺人技になってしまうのです。その迫力はTNAに移籍してもいささかの衰えも見せていません。


○ライノ(ゴア2連発→10カウントKO)AJ×


AJは立てたのに、ライノがゴア・オン・ザ・テーブルを狙っているのを察知して自ら座り、KO負けを選びました。しかしライノはまだやり足りないようです。入場ランプまでAJを追いかけていきました。
一旦は引っ込んだAJを引きずり出し、パイルドライバー。更に机を取り出し、入場ゲートに縦に据え付けました。AJは机をバックに立ち上がります。タイミングを見計らってライノがゴア!しかし寸前でかわされ、ライノは机に頭から突っ込んでしまいました。机は真っ二つ。



Xディビジョン選手権 3WAYマッチ (王者)“フォーリン・エンジェル”クリストファー・ダニエルズ vs クリス・セービン vs ジェリー・リン

豆知識。全員そのままのキャラクタで来日したことがあるのですが、CDは「カレーマン」、JLは「ゴルゴダ・クロス」のリングネームでみちのくプロレスに上がっています。


試合の方は、ちょっとテンポが悪かったような気がします。一つ一つの動きは素晴らしいのですが、それが線となって続いていきませんでした。一時的に沸く場面は多くあったのですが、途切れ途切れになってスムーズに流れないのです。XディビジョンはWWEに対する数少ないアドバンテージなのですから、もっと完成度を高める必要があるのではないかと感じました。


JLはシュバイン(CIMAが使う技)とかクレイドル・パイルドライバー(いわゆるゴッチ式)とか、頭から落とす技が多くて少し恐ろしく感じます。WWEを短期間で離脱した理由もなんとなく分かるような気がします。WWEでは基本的に頭から落とす技は使えません。JLくらいの技術があれば相手が怪我をしない落とし方も分かるのでしょうが、技術のない者が安易に使って相手を負傷させるのは好ましくありません。


○セービン(タイツ掴み式エビ固めによるピンフォール)JL×
※JLがCDにクレイドル・パイルドライバーを決めた直後に後ろから丸め込んでカバー
※セービンが新Xディビジョン王者に



PCS(パパラッチ選手権シリーズ)最終戦 10分1本勝負 アレックス・シェリー vs オースチン・スター

「PCS」とは、“ビッグ・セクシー”ケビン・ナッシュ主催の…なんだか良く分かりませんが、シリーズでポーカーだのリンボーダンスだのホッピングだので得点を競う競技のようです。相変わらずつまらないアイデアを出す男ですね。本人のアイデアとは限りませんが、断れる立場にありながらやった以上は同罪です。


この試合にはなぜか「審査員」がいます。試合を審査してポイント化し、より高いポイントを獲得した者が勝者となるようです。審査員は、かつての“MSGの帝王”ボブ・バックランド、サモリアン・ジョー(なんだその名前は)、ビッグ・ファット・オイリー・ガイ(ビッグ・ディック・ジョンソンのパクリ)の3名。ボブは相変わらずアヒルみたいな体型ですね。この前、バトラーツの両国大会で試合していた(10年以上前の番組の再放送)のを見たばかりなので、あまり懐かしい気はしませんでしたが。


試合は10分時間切れ、判定決着となりました。
ジョーの判定はスター、BFOGはシェリー。
ボブの判定で勝者が決まります。ボブはリングに上がってマイクを持ちました。なにやら長々と話していましたが、結局ドロー判定(何なんだ)。
ナッシュの裁定により、5分間の延長戦が行われることになりました。
ゴング直後からの丸め込み合戦の結果、シェリーがピンフォールを奪って勝利。


シェリー(丸め込み合戦を制してピンフォール)スター


PCS出場者がリングに上がり、表彰式が行われました。しかし一人納得していないスターはナッシュに食って掛かり、突き飛ばされてもう一度掴みかかろうとしたところをセンシ(前名ロウキー)に押しとどめられました。
スターはマイクを持ち「リンボーやポーカーをやりにTNAにきたわけじゃない。脇役を演じるためでもない。尊敬できるのはここにいるセンシだけだ。」とアピールしました。そして「センシよ、共に旅立とう」と呼びかけたのですが、センシは追従しません。腹を立てたスターがセンシの頬を張ると、センシが殴りかかって乱闘に。
場外に下りたスターは、今度は審査員に食って掛かりました。ボブは顔を突かれたことで激怒し、スターにチキンウィング・フェースロックを極めました。
しょうもない三文芝居です。WCWじゃあるまいし。




“カウボーイ”ジェームス・ストーム vs PTウィリアムス w/z ゲイル・キム

○ストーム(ロープ掴み式エビ固めによるピンフォール)PT×


判定に不服のPTはレフェリーに抗議。ストームは後ろから襲撃し、手錠でPTをコーナーに固定しました。そして、場外に降りてビール瓶を持ち出し、それで殴ろうとしたところでPTのマネージャ、キムが止めに入りました。ストームは邪魔するなとキムの喉を掴みました。女性に手を出す気でしょうか?PTは手錠を嵌められているので助けに入れません。しかしキムはローブローで脱出。そしてストームのビール瓶を奪い取りました。
ところが、突然乱入した女性がキムを襲撃しました。どうやら元WWE、APAとつるんでいたジャクリーンのようです。ジャッキーはクローズライン、レッグドロップをキムに決め、存在をアピールしました。



VKM ブードゥー・キン・マフィア(BG・ジェームス&キップ・ジェームス)演説

「VKM」という頭文字は、"Vincent Kennedy McMahon"に掛けているようです。要は「マンデーナイト・ロウ」と「マンデー・ナイトロ」みたいなものです。


前回に続いてWWEに毒づいていました。自分たちが乗り込んで行ったのに番組に出演させなかったから自分たちの勝ちなんだそうです。
お前ら猪木か。
乗り込んだといっても、会場外で家庭用ビデオカムを回していただけで、入ろうともしていませんでした。しかも観客が全員会場内に入っている時間帯に、外でわめき散らしていただけ。
不思議なことに、VKMの喋りと周りにいたファンの"VKM"コールが一致しておらず、RAWの会場を映している場面とVKMコールを送っていたファンが同時にフレームインすることはありませんでした。
いったいどういうことでしょうか?

  1. RAWの会場で撮影したが、ファンは仕込みだった
  2. 別々に撮影してフレーム単位で切り張りした
  3. 全部セットだった

いずれにせよ、はっきり言ってヘタレです。


だいたい、シャブ中でクビになった奴とWWEをお払い箱になったポンコツが何を言っても説得力ないんですけど。BGは英語版Wikipediaで"People treated for drug addiction"(麻薬中毒者として扱われた人々)カテゴリに入れられています。
Category:People treated for drug addiction - Wikipedia, the free encyclopedia
Brian Gerard James - Wikipedia, the free encyclopedia


自分たちを出せば視聴率が上がっただろうとか意味不明のことを言っていたのですが、iMPACT!の視聴率1%前後ですから!残念!(死語) あのクソつまんないECWより低いのです。WWEが落ちているのは確かですが、それはUFCなどのMMAに食われているのと、爆発的な人気を誇る新しいスターを育成できていないからです。TNAの影響は、レスラーのメンタル面(WWEは半歩合制なので業績が悪いとギャラが極端に下がるらしい)くらいのものです。
また、100万ドルの賞金を用意したそうですが、ビンスにとって100万ドルなんてはした金ですから!残念!(死語) ちなみにXFLの赤字は約3500万ドル。利息分にも足りません。
WWEがTNAを意識するとすれば、それは個々のレスラーに対してです。この二人はもう使えないことが分かっているので興味を示さないでしょう。相手にするだけ却って宣伝になるくらいの差がある場合、黙殺するのが常識です。
それに、WWEの演出を批判しながら、PCSのようなWCW劣化コピーとしか言いようのないくだらないコントを流しています。PCSのどこが本物のレスリングですか?その上、彼らの演説の後にクリスティ・へミーが出てきてまたコント。彼らの試合はありません。更にこの後の試合でまたコント。お前ら言行不一致にもほどがあるぞと。




NWAタッグ選手権 (王者)LAX(ホミサイド&ヘルナンデス) vs チーム3D(ブラザー・レイ&ブラザー・ディーボン)(挑戦者)

チーム3Dの紹介で、アナウンサーが「ハッスルでも王者になった」と言っていました。さすがに相手が女性(Erica&マーガレット)とまでは言っていませんでしたが。前回の防衛戦はソドム&ゴモラに苦戦していましたが、今のところ敵無しの状態です。


チーム3Dがホミサイドに3Dを決め、ヘルナンデスを場外に放り出したところで、サンタクロース姿のブラザー・ラント(旧名スパイク・ダッドリー)が乱入。どうやら酒に酔っているようです。そしてホミサイドにスプラッシュ。これが原因でチーム3Dの反則負けとなりました。


○LAX(反則)チーム3D




NWA世界ヘビー級王座時期挑戦者決定戦 30分アイアンマン・マッチ サモア・ジョー vs カート・アングル

※レフェリー アール・ヘブナー


試合経過:(数字は残時間)
17:07頃 ジョー(コキーナクラッチによるタップアウト)
13:58頃 カート(アンクルロックによるタップアウト)
11:05頃 カート(アンクルロックによるタップアウト)
7:41頃 ジョー(キン肉バスターからピンフォール
5:15頃 アングル(前方回転エビ固めによるピンフォール


カート・アングルが3-2で勝利。その結果、カートが時期挑戦者に決定。次の試合の勝者と次回のPPVで対戦することになります。と思います。多分。
ジョーの動きが前回よりも悪かったのが気になりました。どうやら本当に膝が悪いようで、おそらく前回よりも更に悪化しているのだと思われます。




NWA世界ヘビー級選手権 3WAYイリミネーションマッチ (王者)アビス vs スティング vs クリスチャン・ケイジ

アビスはケインとマンカインドを足して二で割ったようなキャラクタです。マネージャのジェームス・ミッチェルは怪物アビスを調教師のようなやり方で操ってきましたが、スティングはその人間性を取り戻すべく呼びかけを行ってきました。ミッチェルは苦悩するアビスを容赦なく怪物として扱い続けています。スティングとアビスの関係がこの試合の大きなテーマでした。ただ、ケイジがどう関わるのか、この番組を見ただけでは分かりませんでした。


ケイジの用心棒トラヴィス・トムコは介入できないよう檻の中に隔離。昔、WCWで見たようなシチュエーションです。しかし、スティングが不用意に近づいたところでいきなりスリーパーホールドを仕掛けました。いい加減ですね。


○スティング(スコーピオンデスドロップからピンフォール)アビス×


なんと王者が真っ先に脱落してしまいました。これでアビスの王座陥落が確定。アビスはスティングの喉を掴みましたが、結局何もせずに手を離しました。ミッチェルは不服そうです。


ここからスティングとケイジの一騎打ち…のはずでした。しかし、スティングのスコーピオンデスロックが決まったところでミッチェルが会場内に戻り、トムコを檻から出してしまいました。ミッチェルがレフェリーの気を引いている隙にトムコが乱入し、ケイジを救出。ミッチェルはなんとしてもスティングに勝たせたくないようです。ところが、今度はアビスが戻ってきてトムコを檻に戻してしまいました。
ケイジはベルトを持ち出してスティングを殴ろうとしましたがこれはかわされ、逆に掟破りのアンプリティアーを食らってしまいました。カウント2.9で辛うじてキックアウト。
今度はケイジのクローズラインがレフェリーに誤爆。レフェリーが倒れている隙にミッチェルが乱入し、杖でスティングを殴りましたが逆襲され、スコーピオンデスロックを決められてしまいました。
そこでアビスがチェーンを持ってリングに入りました。ケイジを殴る…のかと思いきや、なんとスティングに一撃。背後から不意打ちされたスティングはダウン。
ケイジはフロッグスプラッシュを決め、レフェリーを起こしてカバー。カウント3が入り、ケイジの勝利となりました。


○ケイジ(フロッグスプラッシュからピンフォール)スティング×
※クリスチャン・ケイジが新NWA王者に


結局、アビスとスティングの関係ははっきりしないまま終わりました。


クリ坊は相変わらず良い試合しますね。WWEではあまり良い働き場所をもらえませんでしたが、その巧さは多くの人に認められていました。TNAに入って活躍の場を与えられたのも当然です。元々それだけの力はありました。
また、アビスも巨体と巧さを兼ね備えた将来有望なレスラーです。個人的にはサモア・ジョーよりも将来性があると思っているくらいです。カートやクリ坊などメジャーで活躍した選手から多くのものを吸収すれば、きっとWWEのトップと遜色ないくらいの素晴らしいレスラーになれるでしょう。現時点でもジョン・シナバティスタに比べて劣るところはありません。しかし、そんなレベルで満足するのではなく、クリス・ベノワやショーン・マイケルズ、リック・フレアーに匹敵するくらいにまで自分を高めて欲しいものです。
ジョーについても、期待しているからこそ厳しい目で見ているのであって、その能力は高く評価しています。ジョーとアビス、そしてWWEではチャンスをもらえなかった人たちが一丸となって良いものを作ろうと努力すれば、TNAはもっと大きくなるでしょう。私は根っからのWWEファンですが、WWEに刺激を与える意味でもTNAには頑張ってもらいたいと思っています。それだけに失敗したWCWの焼き直しを見ると暗澹たる気分になります。米国のファンがTNAに期待しているのは良い試合でしょう。WCWの二の舞だけは避けていただきたいものです。