2007/5/8 ECW

at イタリア・ミラノ



ニュー・ブリード演説

ニュー・ブリードのメンバー全員がリングに上がり、前週の放送で同軍団に加入した新メンバーのCMパンクを紹介しました。ニヤケ顔のパンクは実に憎たらしく、意外にもヒールとしての素養を感じさせるものでした。パンクは元々相手を突き放すような、どこか冷たさが感じられるファイトスタイルですし、WWEでは優等生的なキャラクタには思い入れを持ちにくいという面もあります。前週からの言動を見ているとむしろ人間らしさが表れてきたような気もしますし、もしかするとこちらの方がパンクの魅力を引き出せるのかもしれません。


イライジャ・バークはパンクに対し「ニュー・ブリードを選んだ理由をお前の言葉で説明してほしい」と、マイクを手渡しました。パンクは「俺の気持ちは心の中にとどめておきたい。今重要なのは、俺がニュー・ブリードの一員になったということだ」と語りました。
その後はイライジャの演説が続いたのですが、それをさえぎるようにロブ・ヴァン・ダムのテーマ曲が鳴り響きました。入場ゲートに姿を現したRVDは、パンクに対し「骨身を削ってECWを築き上げてきた俺たちよりもニュー・ブリードを選ぶのか?俺たちがその選択を後悔させてやる」と宣言。
イライジャに対しては、シングルマッチでの対戦を要求しました。しかし、イライジャはなかなか受けようとしません。パンクはマイクを奪い取り「それなら俺が相手になってやる」と逆挑戦状を叩きつけました。しかし、今度はイライジャが「いや、俺が相手をする。お前の挑戦を受けてやる」と対戦を受諾。パンクは「どうぞどうぞ」…とは言いませんでしたが、身を引いた為、RVDとイライジャの対戦に決定しました。



ナンジオ vs スニツキー

ナンジオは、FBIとしての活動からも分かるようにイタリア系です。国籍はアメリカ合衆国ですが「純血イタリア人」と自称していますから、心はイタリア人です。イタリア国旗を掲げて入場すると、ミラノの観客は大歓声で迎え入れました。
しかし、今回の相手は狂人スニツキー。相手が悪すぎました。心の故郷に錦を飾ろうと必死のナンジオでしたが、わずかに攻め込む場面はあったものの、圧倒的な体格差はいかんともし難く、ほとんどいいところを見せられないまま玉砕しました。


○スニツキー(ブートからピンフォール)ナンジオ×



マーキス・コー・ヴァン&ケビン・ソーン vs サンドマン&トミー・ドリーマー

○ドリーマー(サンセットフリップ→ロープ掴み式エビ固めによるピンフォール)ソーン×

ボビー・ラシュリー演説

ECW王者ボビー・ラシュリーが背広姿で登場(ネクタイはしていませんでしたが)。どこかのチャンプとは違い、ラシュリーはイタリアの観客からの暖かい歓声を集めていました。
前日のRAWのVTRが流された後、ラシュリーはウマガからインターコンチネンタル王座を奪取した一般人、サンティーノ・マレラを紹介しました。
マレラはベルトを掲げ、感極まって涙を浮かべながら、イタリアの大観衆の前でこの快挙を成し遂げた喜びを伝えました。


野暮は承知の上ですが、一応書いておきます。サンティーノ・マレラを「一般人」と表現しましたが、事実ではありません。実際にはWWEの下部組織OVWレスリングのトレーニングを受けています。要するに「一般人役の玄人」というわけです。
WWE: Superstars > Raw > Santino Marella
なお、「一般人=スポーツエンターテインメント業界の外部の人間」です。言うまでもなく、タレントやアナウンサーはこの業界では一般人です。たまに「一般人=芸能人やマスコミ関係者以外」と勘違いしている人がいますが、誤解なきよう。



バックステージにて

CMパンクは先ほどの試合で敗れたソーンとアルファメイルに向かって説教しました。それを見ていたイライジャは「お前のことは歓迎するが、まずは足並みを揃えろ」と文句をつけました。暗に「リーダーは俺だ、新参者のくせに偉そうにするな」と言っているわけです。パンクは「言いたいことは分かるが落ち着いてくれ。ここでやり合う気はない。RVD戦では俺がついている」と言ってその場を立ち去りました。

ロブ・ヴァン・ダム vs イライジャ・バーク

試合の途中でCMパンクがリングサイドまで駆け寄ってきました。どうやらイライジャを助けに来たようです。パンクはイライジャの指示に従い、椅子をリング内に投げ入れました。ところが、投げる勢いが強すぎて椅子はイライジャの脇をすり抜け、RVDの手に渡ってしまいました。気になるのは、この時パンクがとぼけたような表情をしていたことです。もしかすると…いやまさかそんな安直なオチは…ともかく、イライジャの「ア、アーッ!!」という表情は絶品でした。
RVDはその椅子でイライジャの頭を思い切り殴ると、とどめにフロッグ・スプラッシュを決めてピン。


RVD(ファイブスター・フロッグ・スプラッシュからピンフォール)イライジャ×


パンクはイライジャの元に駆け寄り "Sorry..." と謝罪したのですが、顔は全然謝っていませんでした。


先にも書きましたが、パンクはしばらくヒールとしてやってみた方がよいのではないかと思います。私はこの日見せた豊かな表情こそが、パンクに欠けていた“何か”だったのではないかと感じました。「タバコは吸わない、酒も飲まない、試合中毒の堅物の朴念仁」よりもよほど魅力的ではないかと思うのですが、いかがなものでしょう。