2007/5/14 RAW

at イングランド・ロンドン


今週のWWEはロンドン公演。



シェイン・マクマホン演説

前週のウマガに続き、今回はシェインがオープンチャレンジを行いました。前週はウマガが一般人に敗れてしまったのですが、今回はその反省からか、観客から選び出すのではなく、あらかじめ選び出していた対戦相手を連れてきました。シェインにコールされて出てきたのは、リバプール出身のロビー・ブルックサイド。どこかで聞いたことのある名前だと思ったら、どうやら来日経験のある選手ようです。
スポーツナビ|格闘技速報 全日本プロレス「2003 サマーアクション・シリーズ」最終戦
しかし、前週のマレラとは違い、ブルックサイドはいいところなく一方的にシェインにやられました。ブルックサイドが起き上がれない状態にまでなると、シェインはマイクを持ち「言い忘れていたが、これはハンディキャップマッチだ」とアナウンス。シェインのパートナーはウマガでした。ウマガがブルックサイドを散々痛めつけたところでシェインは再びマイクを持ち「これは3対1のハンディキャップマッチだ」とアナウンス。3人目のパートナーは、ミスター・マクマホンでした。会長は動けないブルックサイドを悠々カバー。


ハンディキャップマッチ ミスター・マクマホン&シェイン・マクマホン&ウマガ vs ロビー・ブルックサイド

○会長(ハーフ・ネルソンによるピンフォール)ブルックサイド×

マット・ハーディ vs トレバー・マードック

マードック(前方回転パワーボムからピンフォール)マット×

メリーナ vs マリア

○メリーナ(フェイスクラッシャーからピンフォール)マリア×

カリート vs グレート・カリ

○カリ(ネックハンギングツリーからそのまま落とす→踏みつけ式体固めによるピンフォールカリート×

“ハート・ブレイク・キッド”ショーン・マイケルズ vs ジョン・シナ

HBK(スウィート・チン・ミュージックからピンフォール)シナ×


ロンドンでもブーイングで迎えられたシナ。前週のミラノもそうでしたし、ヨーロッパでもシナが受け入れられていないことは観客の反応を見れば明らかです。試合前、恐い顔をしたスタッフが会場内を練り歩き、観客に何か指示している様子が見られました。どうやら「シナを貶すサインボードは没収される」という話は本当のようです。そこまでしてシナを守る必要があるのでしょうか?
「シナが可哀想」という意見も聞かれるのですが、クリス・ベノワの苦難はこの程度ではありませんでした。どれだけ良い試合をしても認められず、新日本プロレスではいつまで経ってもライガーのライバル扱い、WCWからは王者になった翌日に退団に追い込まれるというひどい扱いを受けていました。ベノワは、団体や観客からの偏見を実力で跳ね除けて今の地位を築いたのです。HBKにしても、認められるまでにはずいぶん長い時間が掛かりました。レスリングセンスは高く評価されながらも、体の小ささがネックになってなかなかトップを奪えませんでした。HBKは体格のハンディキャップをハードバンプで埋めたのですが、無理を重ねた挙句腰が破壊され、一時はセミリタイア状態に追い込まれました。
シナは、そのベノワやHBKを踏み台にしたのです。そうであれば試合のクオリティを高める努力をする義務があるはずです。しかし、トップに立ってもう長いのに、いつまで経ってもレスリング技術が向上しません。試合の出来不出来は常に相手任せ。それではマニア層の受けが悪いのは当然です。シナの一番の問題は、唐突に繰り出されたフィニッシャーで並み居る強豪からあっさりピンフォールやタップを奪うようなやり方です。ロックやオースチンは説得力皆無のフィニッシャーを使っていましたが、そこに至るまでのプロセスがしっかりしていたからこそカタルシスを得られたのです。シナはフィニッシャーまでのプロセスをおざなりにしているため、必要以上に相手の格を下げてしまい(完敗の印象が強くなる)、面白味も感じられません。実際のところ、フィニッシュ“まで”の試合展開はそうひどいものではありませんが、いざフィニッシュに入るとき、あまりにも唐突な印象を与えることが多すぎるのです。この流れを改善しない限り、ブーイングが止むことはないでしょう。
シナを見ていると、大相撲の朝青龍を思い出します。朝青龍も「勝つには勝つが、横綱としての品格に欠ける相撲が多い」という批判があります。洋の東西を問わず、ディープなファンが求めるものには大して違いはないようです。